2020年8月17日 22:30
日本や世界のSDGsをめぐる動きをPRパーソンの視点で解説する【#SDGsニュースpickup】
PR総研は、SDGsの「17 Goals」にちなみ、毎月17日に情報の発信や交流を中心とした取り組みを行っています
新型コロナウイルスの感染拡大は、平和活動にも深刻な影響を与えていますが、若い世代を中心に、インターネットを利用した地道な活動が続いています。被爆者の「オンライン証言会」を開いた高校生を取材した記事をご紹介します。
2020年8月6日公開 出典:中国放送・TBSニュース掲載 https://news.tbs.co.jp/newseye/tbs_newseye4049138.html
コロナ禍において、毎日のように「中止」、「延期」、「自粛」のニュースが流れていますが、その間にも世界では「紛争」や「暴力」が起こっており、「コロナ禍下だから…」といってこれらが止むことはありません。
引き続き感染対策に追われるわが国では、今夏、子供たちの学びの機会を確保するための方法の一つとして遠隔教育が注目を集める中、平和への願いを語り継ぐ「戦争証言」がオンラインで実施されました。
戦争体験者が高齢化している中、証言者の方々は、相手の表情が見えづらいオンラインを通して被爆体験を語る事に戸惑いを感じながらも、懸命に生徒たちと向き合いました。
他方、教育現場の先生たちは、この取り組みによる学習効果を高めようと奮闘しました。こうした様子がこの記事から窺えます。
今後、平和教育・環境教育といった、待ったなしのSDGs目標について、取り組みにおけるICT(情報通信技術)の活用がますます進展していくと予想されますが、既存のものを単純にオンラインに置き換えるだけでなく、より参加者の気持ちに寄り添ったガイダンスが求められていくと感じました。
SDGsの「目標16」について、課題の大きさや経済活動との整合性確保の難しさ等もあって、現状の民間企業による取り組みは、盛んとはいえない状況にあります。
外務省のHP(JAPAN SDGs Action Platform)※1に取り組み事例として掲載されているもののうち、企業による事案は9件のみで、これは他の目標への取り組みに比べ圧倒的少数に止まります。
こうした中、難民となってしまった子供たちへの支援等において、間接的に取り組む企業も見受けられます。
間接的というのは、企業自身が直接アクションを起こすのではなく、UNHCR(国連難民高等弁務官事務所)など難民支援を行う専門組織に対し寄付を通じて取り組みを推進する等の手法をとるケースを指します。
2019年度は、2700社からの支援があったと発表されています。
例えば、株式会社AIRDOや株式会社ABCCookingStudioは、難民に寄り添い、支援活動を行う生徒・学生と共に、日本人が当事者意識を持ちづらいこの問題を、より身近に感じてもらうための活動を行っています。
2020年8月は先の大戦から75年であり、被爆75年の節目の年となっただけに、私たちにとって「平和」について考えることの多い月です。これを契機に「目標16」に向けて今後、企業による様々な取り組みや、アイディアの発信が増えることが期待されています。
– AIRDO https://www.japanforunhcr.org/archives/20722/
– ABCCookigStudio https://www.japanforunhcr.org/archives/20290/
※1 外務省・取り組み事例「16平和と公正を全ての人に」:https://www.mofa.go.jp/mofaj/gaiko/oda/sdgs/case/goal16.html
『ジェンダーやルッキズムの問題とどう向き合うか…学生たちの葛藤 新しいコンテストはどう変わる? ウェディングドレスの着用などを廃止へ』
『“女性アナウンサーの登竜門”として有名な上智大学のミスコンが廃止され、2020年から新たなコンテストが開催される。性別を問わず募集し、「女性」と「男性」の性差を強調しないよう、ウェディングドレスの着用なども取りやめるという。また、候補者が「容姿」だけで評価されることをできる限り避けるため、新たな審査基準を設けた。背景にあるのは、大学のコンテストがはらむ、ジェンダーや外見至上主義(ルッキズム)の問題だ。』
2020年7月21日公開 出所:ハフポスト https://www.huffingtonpost.jp/entry/story_jp_5f0fc6bdc5b619afc3fcf99b
● 「SDGsへの取り組みを評価するコンテスト」へ
上智大学のコンテスト実行委員会は、「性別も国籍も関係なく、多様性を尊重するということがこのコンテストの理念であり、ジェンダー問題に向き合い、時代に合った革新的な企画運営に努めてまいります」と発表し、1980年代から続く「ミス/ミスター コンテスト」における従来の審査方法を大幅に見直しました。
この見直しにより、新たな審査部門として、「SDGs部門」、「スピーチ部門」、「自己PR部門」の3つが設けられました。
このうち、「SDGs部門」は、「インフルエンサーとしての社会的な影響力をアピールする」とされるなど、これまのミスコンにはみられなかった全く新しい視点が採用されています。
このようにして、これまで「ジェンダー上の問題がある」と言われていたコンテストが、一転してSDGsへの取り組みを評価するコンテストへと変容を遂げたのです。
● 協賛企業への影響
2019年までの従来型のコンテストでは、フジテレビやコーセーなどの企業がこれに協賛していましたが、今回、協賛企業賞も内容が見直されました。すなわち、協賛のあり方も男女平等に配慮したものに変更すべく、交渉中とのこと。
昨今の、企業によるSDGsの推進、そしてESG投資の観点から考えると、これからは従来型の「ミス/ミスター コンテスト」への企業協賛は困難になるとみられます。
● 存続のための不断の努力を
上述のようなコンテスト候補者たちのSDGs推進への取り組みや情報発信は、2020年11月の本選に向けて現在も続けられており、その模様はコンテスト実行委員会のSNSからも窺うことができます。
このように、学生団体によるいわゆる「ミス/ミスター コンテスト」は、SDGsの浸透と共に着実に進化を遂げているといってよいでしょう。
ジェンダーやルッキズム上問題はなお残るものの、コンテスト自体は存続させ、「参加する学生がコンテストを通して成長したり、努力したりする機会まで奪いたくない」との思いを実現するために自らチャレンジを続ける学生たちを応援していきたいと思います。
『地域のSDGs評価、1位は鳥取県 持続度1位は沖縄県。ただし、県に対するSDGs評価は低め』
『求められる「住み続けられるまちづくりを」』
● 自治体による政策広報の重要性
先日、内閣府から「SDGs未来都市」(SDGsのモデル都市を全国の自治体から政府が選定して公表)が発表されました。
その一方で、「都道府県や市町村の取り組みが当該地域の住民に伝わっておらず、理解されていない」という課題も指摘されています。
地域住民に分かりやすく、継続して啓発する自治体の取り組みが重要となり、結果的に住民が住み続けたいと思えば、町は活性化していきます。
これとあわせて企業立地も促進されるため、当該自治体の税収増にも繋がり、ひいては地域の生活レベル向上も実現できる可能性があります。
こうした好循環をつくるため、地域に根差した課題解決と共に、自治体によるSDGsへの取組状況を適切に周知する「政策広報活動」の重要度も高まっていると感じます。
『日本ユニセフ協会は、より良い社会の発展を目指し、2030年を達成期限につくられた「持続可能な開発目標」(SDGs)を、子どもたちが知り、自分事として学び、また自分にできることを考え行動していくヒントを提供する特設サイト「SDGs CLUB」を、7月31日に公式ホームページ内にオープンさせた。』
2020年8月3日公開 出所:ICT教育ニュース https://ict-enews.net/2020/08/03unicef/
● 子供たちが自ら「行動する」ために
新規に開設されたサイトには、オリジナルの「子供訳」が掲載されていて、これは子供だけでなく大人も十分に学べるようになっています。
また、子供たちに知識として理解してもらうだけでなく、『みんなの行動宣言』として実際に行動するところまで設計されている事が重要であり、新しい取り組みだと言えます。
共同ピーアール株式会社 総合研究所(PR総研:所長 池田健三郎)は、SDGs(持続可能な開発目標)を踏まえたCSV(経済的・社会的な共通価値創造)推進活動を行うシンクタンクです。2020年3月、(一社)日本記念日協会の認定を受け3月17日を「みんなで考えるSDGsの日」に制定しました。SDGsの「17 Goals」にちなみ、毎月17日に情報の発信や交流を中心とした取り組みを行っています。
【PR総研 オンラインプレスルーム】https://prri.kyodo-pr.co.jp/【編集】主任研究員 藤田嘉子【発行】 所長 池田健三郎