2020年7月17日 13:00
最近の日本や世界のSDGsをめぐる動きをPRパーソンの視点で解説する【#SDGsニュースpickup】が始まりました! PR総研は、SDGsの「17 Goals」にちなみ、毎月17日にSDGs関連情報の発信や交流を中心とした取り組みを行っています
「世界のSDGs達成度ランキング」 日本は17位 格差是正の取り組み後退
2020年7月1日 公開(出所:SustainableBrands.jp)
記事:https://www.sustainablebrands.jp/news/os/detail/1197191_1531.html
■ 公共政策とSDGsの統合を
レポートでは、各国政府による公共政策とSDGsの統合が必要と提言。G20・OECD加盟国の30か国のうち、公式予算文書にSDGsに関連する用語を掲載しているのは12か国、そのうち国家予算にSDGsの推進が組み込まれている国は4か国(日本、オーストリア、アルゼンチン、パキスタン)のみ。この点では、日本は評価されています。
■ 日本の課題、そしてコロナ対応の評価は
最大の課題として「ジェンダー」、「気候変動」、「海の豊かさ」、「陸の豊かさ」、「パートナーシップ」が指摘されました。
また、後退していると指摘されたのは「人や国の不平等」で、その背景は所得格差です。もっとも、新型コロナウィルスの感染を抑制しながら経済への打撃を防いだ点、経済と感染症対策を両立できている点、はプラス評価されました。
コロナ禍を克服し、あるいはコロナとうまく付き合いながら経済を復活(あるいは拡大)させていく、という大変難しい問題をクリアしなければならない状況にありますが、コロナ禍への対応は「まさにSDGsそのもの」です。その場限りのこと、自分だけのこと、ではなく持続可能性を考えて様々な知恵を出していく必要があります。
「Go Toキャンペーン」などと連携し需要喚起を 日本旅行業協会
2020年7月1日 18時21分公開(出所:NHK)
記事:https://www3.nhk.or.jp/news/html/20200701/k10012491541000.html
■ 持続可能性のあるキャンペーンに
旅行業界に限らず、SDGsに向けては、健康に生き延びること、それと同時に経済を動かしていく、2つの持続可能性を同時に満たす必要があります。
Go Toキャンペーンは、予算全体が3,095憶円、内訳は①観光2,294憶円(観光庁)②飲食469憶(農水省)③イベント281憶(経産省)④商店街51憶円(経産省)と、多くの府省・地方自治体を巻き込む一大キャンペーンです。開始時期や対象エリアについては日々状況が変化していますが、これは持続化給付金のような一過性の施策ではないため、この予算は持続可能性を高める使い途が重要となります。つまり、3,095憶円を何回転もさせ、国民経済をまわし、波及効果によりGDPを押し上げ、国民所得として還元させ、国全体を豊かにする視点を持って取り組む必要があるのです。
これはある種の「総力戦」になるはずで、各府省・自治体・民間企業の知恵の出しどころです。実際のビジネスはノウハウを持つ民間が担いますが、Go Toキャンペーンをきっかけに、旅行者を満足させ、また来たいと思わせる、サービス・商品を生み出せれば、必ず持続可能性は高まると思われます。
(新型コロナ)新生活様式、カギは「ナッジ」? 「するな」より、選択を後押し
2020年6月23日公開(出所:朝日新聞)
記事:https://www.asahi.com/articles/DA3S14522435.html
■ ナッジ関連の話題が増加
環境省によると 「ナッジ(nudge:そっと後押しする)」とは、『行動科学の知見(行動インサイト)の活用により、 人々が自分自身にとってより良い選択を自発的に取れるように手助けする政策手法』 ※1とされています。
行動変容を促すための理論として注目されており、最近では『新しい生活様式』として新型コロナウィルス感染症専門家会議による10のポイント「ビデオ通話でオンライン帰省」、「飲み会はオンラインで」等の自発的な選択を促す提言が有名です。
「コロナ対策についてのナッジ理論の検証結果」が自治体によりリリースされたり※2、環境省が「ナッジを活用した取り組みを募集」したりするなど、ナッジ関連の話題を目にすることが多くなりました。
■ ナッジとマーケティングの違い、両者の統合は?
一般的にナッジは、「公共の利益の増進、公共の福祉のために合理的判断を促す場合」に適用され、マーケティングは、「企業の利益追求のため、顧客に商品・サービスを購入させたい場合」に適用されます。※3
従来、企業はまず自社の利益を追求し、公共の福祉のための活動は副次的に「CSR活動」として実施するケースが主流でした。つまり、ナッジとマーケティングとは目指すゴールが異なっていたのです。
しかし、SDGs推進の拡がりと共に、「withコロナ」局面では、企業は自社の利益と公共の利益との「同時追求」が必須となりつつあります。
このため今後の企業行動は、「ナッジを大いに活用しつつマーケティング活動も推進する」という、両者を統合したものへと変容していく可能性が高いとみられます。
■ ナッジ と 「調査PR」
先月20日に、『消毒ナッジ』として記事化された茨城県つくば市の取り組み※2では、「消毒実施率が向上した方法」を数値と共に発信し、過程と結果が共有されました。
ナッジでは、人々の選択の結果、検証結果が発表されることが多くなっています。
これは、マーケティングPRにおける「調査PR」という手法によく似ています。調査PRとは、「製品やサービスに関連する調査を行い、その調査結果をもとにメディア露出や話題化をはかるPR手法」ですが、製品・サービスが解決する課題を数値化することで、商材の魅力をより強くアピールできます。(共同ピーアールHPより)
SDGs推進においては、こうした具体的なPR手法を踏まえた、ナッジとマーケティングの統合活用が期待できることから、今後、企業がナッジを活用したマーケティングを推進し、その過程や結果を共有する(PRする)試みが増えてくることが見込まれます。
※1 http://www.env.go.jp/earth/ondanka/nudge/COVID-19.pdf
※ 2 https://www.city.tsukuba.lg.jp/shisei/oshirase/1012547.html
※ 3 https://www.eyjapan.jp/services/advisory/column/siu-column-nudge-02-2020-03-02.html
独占インタビュー:世界を笑顔に 思いやりの力で 2020年7月1日公開(出所:産経新聞)
記事:https://www.sankei.com/life/news/200701/lif2007010009-n1.html
■ SDGs達成に向け、企業の垣根を超える
可愛らしいキャラクターのキティちゃんが、自ら難民キャンプの現地取材までしていたとは驚きです。
キティには世界中にファンがいて、彼らに対しSDGsを「自分事」として捉えてもらうために様々な発信がされていますが、特設サイトには、コロナの影響もあり不安を癒すようなキャラクターが集結。サンリオ以外にもベネッセコーポレーションのしまじろう、ガチャピン・ムック、機関車トーマスなど20のキャラクターが今後大集合するとのこと。
■ キャラクターとしてSDGsにコミットする、という新しい動き
キャラクター・ビジネスについては各社間で競争がありながらも、SDGsという共通目標に向かい企業の垣根を越えて集結した点は注目に値します。
各キャラクターが単にかわいい、関連商品が欲しいという、「共感」レベルに留まらず、キャラクターとしてSDGsにコミットするという社会性を帯びてきています。
キティのように世界中を飛び歩いて旗振り役をしていく様子は、従来の企業のCSR活動を超え、社会課題に取り組むという新しい価値づくり、すなわちCSV(社会的共通価値創造)の領域に入ってきたことを示すもので、新たな動きだと感じます。
【#SDGsニュースpickup 2020年7月号詳細版は下部より資料をダウンロードください】
編集人 主任研究員 藤田嘉子/発行人 所長 池田健三郎
共同ピーアール株式会社 総合研究所(PR総研:所長 池田健三郎)は、SDGs(持続可能な開発目標)を踏まえたCSV(経済的・社会的な共通価値創造)推進活動を行うシンクタンクです。2020年3月、(一社)日本記念日協会の認定を受け3月17日を「みんなで考えるSDGsの日」に制定しました。SDGsの「17 Goals」にちなみ、毎月17日に情報の発信や交流を中心とした取り組みを行っています。