2018年10月10日

働く人の「コンプライアンスと内部告発」に関する意識調査 報告書

組織のコンプライアンス活動の重要性が増す中で、働く人のコンプライアンス活動に対する考え方と、「内部告発」に対する考え方の変化を明らかに

企業・団体のPRコンサルティングを行う共同ピーアール株式会社(本社:東京都中央区銀座、代表取締役社長:谷 鉄也)の調査・研究機関 PR総研(所長:篠崎良一)は、企業・組織で「働く人の『コンプライアンスと内部告発』に関する意識調査」を実施しました。同調査は2003年および2012年にも実施しており、過去2回との比較を行いました。今回は新たに、「コンプライアンス活動の導入実態」と「パート・アルバイト」を調査対象に加え、調査分野を拡大しました。

調査結果の総括

———————————————————————————————-
このページ最後にある「広報素材ダウンロード」より、本調査全文(全35ページ)をダウンロードいただけます。※ご利用登録のうえご使用ください。

調査対象:企業(組織)で働く一般生活者 (給与所得者)20代から60代の男女 年齢5階層×性別2階層×50名=500名
調査手法・実施時期:登録リストによる抽出(性・年齢) 自記入式Webアンケート調査・2018年7月28日~8月6日
集計・解析計画:単純集計/クロス、2003年・2012年比較他

【プレスリリース】https://www.kyodo-pr.co.jp/topics/2219

———————————————————————————————-

① 半数近い組織で「コンプライアンス活動は未導入」……導入組織では社員、経営者に意識の変化が

何らかのコンプライアンス活動を導入しているのは54%(分からないを除く)に止まっている。具体的な導入活動としては「定期的教育27%」「コンプライアンス委員会の設置16%」「不定期教育15%」「内部通報制度の設置14%」などであった。(図 13

図13 コンプライアンス活動の実態

コンプライアンス導入組織では、未導入組織と比較して明らかにコンプライアンス意識の向上が認められた。また、導入組織では現状で「不祥事はあると思う62%」が高くなるものの、今後の不祥事の動向については「分からない」とする回答が半減し、「減少+無くなった27%」とする回答が未導入組織の3倍近い高評価となった。(図 14 図 7 9

② 不祥事の今後は明らかに減少傾向……ただし、「分からない」とする層が急増

前回調査で「不祥事は増加している」としていた回答は36%から10%へと大幅減少し、変わって「減少+無くなった」が18%と逆転した。ただし、「分からない」とする回答が5%から39%へと急増した(社員/経営者)。特にパート・アルバイトでは「分からない」とする意見が70%に達しており社員/経営者との格差を感じる結果となった。(図 8

不祥事の増加要因としては、「守るべきルールが拡大37%」「経営者の意識の低さ37%」が挙げられた反面、減少理由としては「社内のコンプライアンス意識の高まり43%」「経営トップの姿勢23%」などがその要因として示された。(図 11 図 12

自分の所属する組織での不祥事の有無については「ある+あると思う45%」「ない+ないと思う55%」と差が出た。(図 5

③ 内部告発の有効性に疑問符が……肯定派が5割を切り、分からないとする層が1/3に

「内部告発を有効」と考える層が社員/経営者で21%、パート・アルバイトで17%に止まる。前回調査に於いて41%を獲得していたこの層が半減した。「まず内部で警告し、改善されなければ告発すべき」とする考え方も前回の48%から社員/経営者25%、パート・アルバイト38%へと半減した。変わって上昇したのが「分からない(5%→36%)」とする答えであり、内部告発の有効性に明らかな疑問符がついた。(図 15

コンプライアンス活動の有無で比較すると、何らかのコンプライアンス活動を行っている組織では、「内部告発は有効+改善されなければ告発65%」と非導入組織の「47%」と比較して有効性が格段に上昇した。(図 16

④ 内部告発の意思も前回の6掛けに急落……匿名性に信頼が持てず、告発の意思がぐらつく

「告発すると思う」人は、前回の13%から10%(社員/経営者)へと漸減したが、大きく告発の意思が減少したのは「匿名なら告発する」で40%から22%へ半減した(社員/経営者)。変わって増加したのは「分からない」(22%→36%)とする迷いである。(図 18

パート・アルバイトでは、社員/経営者と比較して、「分からない」が45%に増加し、告発する意思のある層(告発+匿名で告発)は21%にとどまった。(図 18

また、内部告発が組織の不祥事削減に有効だと考える層は、50%を超える高い告発意向を示した。(図 19

⑤ 通報すべき不祥事として 「労働基準法違反」 「ハラスメント」 が1位・2位に上昇

前回の調査で多く指摘された「データ偽装」や「不正経理」が3位・4位に下がり「労働基準法違反(51%)」「ハラスメント(51%)」が1位、2位と上位を占めた。特にパート・アルバイト層では「ハラスメント(70%)「労働基準法違反(65%)」と社員/経営者を      大きく上回る結果となった。(図 39 40

⑥ 通報ルートは「公的窓口」がトップ、匿名性は必ずしも重要ではない

通報ルートとしては、「特に思い当たるものがない46%」となった。具体的通報ルートとしては「消費者相談センターなどの公的窓口14%」「自社を管轄する公的機関窓口(監督官庁)13%」と公的窓口が上位となり、次いで内部窓口の「コンプライアンス委員会11%」「ヘルプライン10%」となるも、マスコミやSNSは告発ルートとしては下位にランキングされた。(図 21

通報ルートとして匿名性が担保できるルートを確認したところ、「匿名性が保てるものはない51%」となった。相対的に匿名性が保てるルートとしては、「弁護士会が運用する内部告発相談窓口18%」「消費者相談センターなどの公的窓口16%」と外部の窓口になった。選択する通報ルートとその匿名性の関係を見ると、緩やかな相関が認められた(R₂=0.29)ものの主たるファクターでないことが確認された。(図 24  25

コンプライアンス活動を行っている組織では、通報ルートとして外部の公的窓口よりも、「コンプライアンス委員会」や「ヘルプライン」などの組織内部の窓口を優先することが明らかとなった。(図 23

⑦ 公益通報者保護制度の認知は進んでいない……認知者に絞っても効果には疑問が

公益通報者保護制度の認知に関しては、「知らない」が57%に上り認知が進んでいないことが明らかとなった。必要性についても42%にとどまっているが、認知者に絞ると「公益通報者保護制度は必要」が59%にアップし早期に制度の認知向上が必要であることを示している。
図 27 図 30

しかし、公益通報者保護制度の効果(機能するか)については、8割近くが否定的であった(知らないを含む)。認知者に絞っても、機能しているか否かはしている39%、していない40%とほぼ拮抗する結果となった。しかし、告発の意思がある層にさらに絞り込むと、している48%、していない35%と、効果を評価する方にさらに振れる結果となった。(図 34 図 35 図 37

⑧ 不祥事発生時の組織の対応には、明らかな不透明感が

コンプライアンス違反が起きたときの自分が所属する組織の対応としては、「予測できない56%」が過半数を占め、不透明感をもたれていることが確認された。この傾向はパート・アルバイトではさらに強まり、63%が「予測できない」としている。「情報を公開し組織を挙げて取り組む」は9%「情報公開は消極的だが組織を挙げて取り組む」を加えても21%に止まった。
42

これを何らかのコンプライアンスを実施している組織に絞り込むと、「予測できない」が31%に減少し、組織を挙げて取り組むと考える層が42%へ増加することから、コンプライアンス活動が社員からの信頼を強化していることがうかがえた。(43

 

※本調査は、対象外データの除外ならびに小数点以下の四捨五入により、結果が100.0%にならない場合があります。データ表記は、本文では整数、調査報告書および図表では小数点第一位揃え。