2021年1月18日 13:00

【#SDGsニュースpickup】「SDGs疲れ」していませんか?

日本や世界のSDGsをめぐる動きをPRパーソンの視点で解説する【#SDGsニュースpickup】1月号 

●どんな企業でも17のゴール・169のターゲットのどれかに当てはまる? ●CSR(企業の社会的責任)とSDGsの違いとは ●年末年始、媒体社企画による全国の自治体のランキング発表

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SDGsは企業PRに使われ、真の環境問題や貧困の解決策にならない

(1/1日:ビジネス・インサイダー/三木いずみ氏[フリーランス記者]/対談記事・山口周氏、斎藤幸平氏)

『SDGsが目標として設定されたことで、持続可能性や貧困の問題、社会における公正さ、地球の環境問題について「みんなで考えていこうよ」という考え方が普及した。企業も対策を求められるようになった。これらは一歩前進かもしれません。しかしその一方で、SDGsが、この危機の瞬間に必要なものになっているのかというとまったくなっていない。なぜなら17のゴール・169もの項目があり、どんな企業でもそのいくつかについて「うちはやってます」と簡単に言えて、儲けのための企業PRに利用できる構造になっているからです。(SDGsが)企業の免罪符として機能してしまっている。消費者側も「企業が環境のことを考えていてくれているから、私たちは特別なことをしなくても大丈夫なんだ」と思ってしまう。SDGsとかエシカル(倫理的であること)だとかいったコピーのついている商品を、選んで買いさえすれば、「社会や自然によいことをしている」という現実逃避ができてしまう。これは、非常に危ないと思います。(斎藤氏)』

● SDGs疲れ? SDGs自身にも持続可能性が必要

2021年元旦に公開されたこちらの記事、このようなタイトルを見たPRパーソンは少なからずショッキングだったのでは。この記事に限らず、最近ではSDGsと企業PRの関係についてネガティブな印象を持つメディア担当者の声も事実として聞こえてくるようになりました。

数年前には「うわべだけのSDGs」を示す「SDGsウォッシュ」という言葉が登場し、実態と異なるような発信は批判の対象にされ、多くのPRパーソンが特に注意している点だと思います。最近はそのような記事はあまり見かけなくなりましたが、このタイトルを見て、日々SDGsとタイトルについたプレスリリースがいくつも送られてくるメディア担当者の『SDGs疲れ』のような状況を想像しました。

確かに、SDGsは、どんな企業でも17のゴール・169のターゲットのどれかに当てはまると言える構造になっていると感じます。

しかし「当てはまると言っているだけ」ではなく、達成目標値や結果を併せて公表する企業が増えていますし、SDGsというキーワードが使われていない同目的の取り組みも当然数多く存在します。結果というのは、PR業界における行動変容や意思変容等の値のことで、メディア担当者にとっては、その取り組みが本質的なものなのか「言っているだけ」なのかの判断材料になるはずです。

カンヌライオンズでは、従来より”ソーシャルグッド”というキーワードが使われてきました。地球環境や地域コミュニティなどの「社会」に対して良いインパクトを与える活動や製品、サービスの総称(出典:IDEAS FOR GOOD)とされ世界中で注目されてきましたが、日本では一般にキーワードとしては普及しませんでした。日米の「SDGs」と「ソーシャルグッド」の検索数比較記事によると、アメリカでは「SDGs」よりも「ソーシャルグッド」の方が検索されています。逆に日本では「SDGs」の検索数が多く、「ソーシャルグッド」はほとんど検索されてきませんでした(近江商人の”三方良し”のほうが日本企業にとっては身近であると思われます)。SDGsの登場により、例えキーワードを言っているだけ、だとしても多くの日本の人々の注目を集めている状況と言えます。その一方で、SDGsというキーワードが氾濫しすぎて疲れてしまう、あるいは、一時的な流行で終わってしまわないよう、「SDGsの自身の持続可能性」にも取り組まなくてはならないと感じます。

記事URL: https://www.businessinsider.jp/post-226561

 「ビジネスとしてのSDGs」で今後の飛躍が期待される4銘柄 ーCSRと何が違うのか?

(1/11日:会社四季報オンライン/野津滋氏[東洋経済記者])

『SDGs(持続可能な開発目標)と社会貢献は同義か――。答えは否である。日本企業の多くは2000年代に入ると、CSR(企業の社会的責任)という大義の下、さまざまな社会貢献活動に取り組んできた。そこで大きなテーマとなったのが「環境」と「社会」であった。SDGsでは、これに「経済」を加えた3つの持続可能性が求められる。経済における持続可能性とは、企業が事業を通してSDGsを実践し、その結果として利益を上げることだ。すなわち、「ビジネスとしてのSDGs」である。住宅設備で国内最大手のLIXIL(5938)は、発展途上国向けに開発した簡易式トイレ「SATO」を展開している。2013年に始まったSATOの取り組みにおいて節目となったのが、2019年にSATOのソーシャルビジネスがバングラデシュで黒字化したことだ。経済的にも持続可能な事業であることを実証したのである。』

● 「ビジネスとしてのSDGs」推進企業

使用済み紙おむつのリサイクル事業を模索するユニ・チャーム(8113)、地方銀行として初めて「SDGsに貢献する新規事業に対する融資」を開始した滋賀銀行(8366)、「茶畑から茶殻まで」の一貫した生産体制を構築し、茶産地育成や茶殻リサイクルシステムに取り組む伊藤園(2593)など。

記事URL: https://shikiho.jp/news/0/402532

日経調査「SDGs先進度」発表、さいたま市が首位 ― 「共働き子育てしやすい街2020」 首位は松戸市

(1/9日:日本経済新聞、12/19日:日経DUAL)

『日本経済新聞は、国連が2030年までの目標として採択したSDGs(持続可能な開発目標)の観点から全国の815市区を調べ、「SDGs先進度」ランキングをまとめた。最も評価が高かったのはさいたま市で、京都市や東京都葛飾区が続いた。20年10~11月、全国815市区を対象に独自調査を実施。回答した691市区(回答率85%)について「経済」「社会」「環境」の3分野から計80指標(調査44指標、公表データ36指標)を採用し、各指標の実施状況を合計100点満点でランキングした。691市区の平均は45.6点。さいたま市は「環境」分野(26指標)でもトップだった。公用車の環境車導入、次世代自動車導入に向けた独自助成などで特に高い評価を得た。「社会」(46指標)は8位。正職員の有給休暇取得率や男性職員の育児休業取得率が高評価だった半面、大都市圏共通の課題である保育所の待機児童数や1人当たり公園面積などが低評価だった。清水勇人市長は「SDGsは行政の目標とも一致する。SDGsに向かって歩むことは『持続可能なまち』を維持するために重要だ」と話す。』

『SDGsに詳しい慶応大学の蟹江憲史教授は「SDGsは17の目標に満遍なく対応することが基本だが、同時に、各地域が自らの特徴を踏まえて特定の目標を重点的に深掘りすることも重要だ。ワーケーションやリモートワークなどコロナ禍による働き方の変化は人を地方に呼び込むチャンスで、(コロナ後に)地域が未来につながる取り組みをしていく際にSDGsは道標となる」と話している。』

記事URL(日本経済新聞): https://www.nikkei.com/article/DGXZQOFB068ZJ0W1A100C2000000?unlock=1  

記事URL(日経DUAL):https://dual.nikkei.com/atcl/feature/19/112700056/121700001/

 

共同ピーアール株式会社 総合研究所(PR総研:所長 池田健三郎)は、SDGs(持続可能な開発目標)を踏まえたCSV(経済的・社会的な共通価値創造)推進活動を行うシンクタンクです。
2020年3月、(一社)日本記念日協会の認定を受け3月17日を「みんなで考えるSDGsの日」に制定しました。SDGsの「17 Goals」にちなみ、毎月17日に情報の発信や交流を中心とした取り組みを行っています。

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【編集】主任研究員 藤田嘉子【発行】 所長 池田健三郎