2020年10月19日 15:00
日本や世界のSDGsをめぐる動きをPRパーソンの視点で解説する【#SDGsニュースpickup】
PR総研は、SDGsの「17 Goals」にちなみ、毎月17日に情報の発信や交流を中心とした取り組みを行っています。
2020年9月23日公開 出典・画像引用
Media Innovation https://media-innovation.jp/2020/09/23/think-from-other-areas/
記事ではメディアの生存戦略、新ビジネス戦略を考えるうえで、代表的なメディアの社是に見るSDGsアジェンダについて以下のように述べ、『SDGsに取り組むことで、より企業のコアコンピタンスの強化につながる』としています。
『日経新聞の社是は、SDGsの目標16である「平和と公正をすべての人に」を、小学館の理念はSDGsの目標4である「質の高い教育をみんなに」に直結しています。朝日新聞の企業理念は、目標17の「パートナーシップで目標を達成しよう」と思想は等しく、講談社もまた、目標16「平和と公正をすべての人に」と同じ思いを持っています。』
公共放送であるNHKや、公共の電波を利用する民放各社などに求められる公共性は言うに及ばずですが、メディア企業各社の社是・ビジョンの実現に向けた取り組みが、世界的なSDGsムーブメントと軌を一にする形で加速し、「誰一人取り残さない」ために日々多くの関連施策が企画されています。
「SDGメディア・コンパクト」は、世界中の報道機関とエンターテインメント企業に対し、その資源と創造的才能をSDGs達成のために活用するよう促すことを目的としたアライアンスです。
今年5月には世界の加盟企業が100社を超え、日本国内では最初に加盟した日刊工業新聞から始まり、直近ではテレビ大阪が加盟を発表(2020年10月1日)しています。※1※2
SDGメディアコンパクトは、メディア加盟社のアクション分野として下記の項目を上げています。(以下抜粋)
〇 SDGs全般、または、SDGsに関連する具体的な目標もしくはトピックに関連する国連主体とのコンテンツ・パートナーシップやその他のパートナーシップ
〇 報道機関の編集権の独立と編集方針を全面的に尊重しつつ、ゴールズ、または、ゴールズの達成を促進または阻害する取り組みや課題に関する記事の取り扱いを増やすこと
「コンテンツ・パートナーシップ」を組むこと、SDGsに関する「記事の取り扱いを増やすこと」は、トップ項目として挙げられています。
現在は大手中央メディアから地方メディアへと加盟の動きが広がっており、これからさらにSDGsに関する「記事の取り扱い」が地方メディアでも増加すると予想されます。企業のSDGs広報にとって、メディアリレーションは重要な役割を果たすため、これからもメディア各社のSDGsに対する発信や具体的なプロジェクト、特集には注目していきたいと思います。
※1 https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000772.000020945.html
※2 https://www.un.org/sustainabledevelopment/sdg-media-compact-about/
出展:2020年9月~10月各種報道より(日本経済新聞・フォーブスジャパン・環境ビジネスオンライン)
従来より競業関係にあった企業同士や、必ずしも関係性の深くなかった企業・団体同士がSDGsに向けタッグを組む動きが生まれています。
先月中旬、花王とライオンの「リサイクル事業での協業」に関する発表では、「ライバル企業」、「異例」といったワードが並び、これまで実現できていなかったリサイクルに向けた取り組みであるとして大きく報道されました。
「花王とライオンというライバル企業が洗剤などの詰め替え容器のリサイクルで異例のタッグを組む。両社は10日、使用済み容器回収の仕組み作りやリサイクル技術の開発で連携すると発表した。国内の詰め替え品の普及率は8割と世界的にみて高いが、リサイクルは実現できていない。普段は競合する2社が技術を持ち寄り「ジャパン・モデル」の確立を目指す。」※1
コロナ禍では、飲料メーカーのライバル相互による協業も生まれています。
大量の廃棄予定在庫となったビール、バドワイザーを活用して新たに再生させた「ジン」づくりです。酒類業界ではライバル企業にあたる3社が協力し、「REVIVE(リバイブ)」=再生と名付けられたジンを作り上げました。※2
また、今月には競業とも言える企業間で「環境への取り組み」が始まったというニュースも掲載されています。
JR東日本、日立製作所、トヨタ自動車が「3社が持つ鉄道技術と自動車技術を融合し、水素を燃料とする燃料電池と蓄電池を電源とするハイブリッドシステムを搭載した鉄道の試験車両を連携して開発すると発表」しました。※3
SDGs達成に向けた多様なパートナーシップが進む中、ライバル企業や従来では協力関係にない企業間の協業についてのニュースは、『異例』というワードとともに、協業経緯や担当者の苦労、完成への道のりまで詳報する記事も見られ、メディアにとても好意的に受け止められているように感じます。SDGs広報としては、パートナーシップによる相乗効果が露出量と共に質にも大いに貢献しているように思われます。
※1 日経新聞 2020年9月10日 https://www.nikkei.com/article/DGXMZO63690530Q0A910C2X13000/
※2 フォーブスジャパン 2020年8月25日 https://news.yahoo.co.jp/articles/7512e7276178640e0f9bec4552aa8b474ce3dffe
※2 環境ビジネスオンライン 2020年10月7日
https://www.kankyo-business.jp/news/026238.php
2020年9月26日公開 首相官邸HP: https://www.kantei.go.jp/jp/99_suga/statement/2020/0926enzetsu.html
2020年10月10日公開
出典:NHK https://www3.nhk.or.jp/news/html/20201010/k10012657021000.html
平和賞授与を巡っては、年により物議を醸すケースもありますが、今年の受賞については異論はそれほど出ていないように見えます。
コロナ禍にあって公的機関の活動も停滞を余儀なくされるケースもあった筈ですが、「それでは失われてしまう命がある」としてWFPはむしろ追加的に人・物を投入し、支援活動を加速させたと評価されています。
平和賞については個人または団体に対し授与されていますが、とくに団体(機関)の受賞の場合には今後、2030年までは「SDGsにどれくらいコミットしているか、どれくらい達成しているか、貢献しているか」という事が重要視され、貢献度が高い団体を平和賞の対象にしていこうという動きが加速する可能性を感じています。
共同ピーアール株式会社 総合研究所(PR総研:所長 池田健三郎)は、SDGs(持続可能な開発目標)を踏まえたCSV(経済的・社会的な共通価値創造)推進活動を行うシンクタンクです。2020年3月、(一社)日本記念日協会の認定を受け3月17日を「みんなで考えるSDGsの日」に制定しました。SDGsの「17 Goals」にちなみ、毎月17日に情報の発信や交流を中心とした取り組みを行っています。
【PR総研 オンラインプレスルーム】https://prri.kyodo-pr.co.jp/
【編集】主任研究員 藤田嘉子【発行】 所長 池田健三郎